子宮頚管無力症とは
子宮頚管無力症は妊娠中期以降の切迫流産・切迫早産の原因のひとつです。
子宮頚管は、内子宮口と外子宮口を結ぶ管腔のことで、通常4センチ程度の長さを保っているもので、妊娠中はしっかりと閉じてお腹の赤ちゃんを支え、分娩時には開口して産道になるという柔軟性に富んだ部分です。
子宮頚管無力症というのは、妊娠中期以降に、陣痛(子宮収縮)を伴うことなく、この子宮頚管が開き子宮口が開いてしまう症状のことです。
子宮頚管無力症は自然流産や妊娠後期の早産とは、実質的に原因が異なります。
体質的な「病気」、と説明した方がいいかもしれません。
だんだん頸管長が短くなるとか、だんだん張りが強くなる、といった兆候が見られないまま、突然に痛みもなく、子宮口が開いてしまうのです。
現在のところ、子宮頚管無力症を事前に診断することは大変に難しく、妊娠後、実際に子宮口が開いてくるなどの所見がないと診断できないのが実情です。
原因はよくわかっておらず、体質的に子宮頚管の筋組織が弱く、頸管が柔らかくなってしまうのではないかと考えられています。
子宮頸管無力症の頻度については、分娩に至った妊娠の0.1%~1.8%との報告があります。
子宮頚管無力症は、子宮の収縮が無いまま(無痛のまま)子宮口が開いてきてしまうため、ママには全く自覚がありません。 いきなり破水したり出血したりして病院へ行った時には子宮口全開で、手の施しようがなかったという報告あるくらいです。
これは体質によるため、前回の妊娠で無力症だと診断された方は次の出産でも子宮頚管無力症による切迫流産・切迫早産を繰り返します。
しかし、子宮頸管無力症とわかっていれば、妊娠初期からしっかりと管理することで、元気な赤ちゃんを出産することができます。
実際に無力症でも出産されているママは大勢いらっしゃいますよ。
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子宮頸管縫縮術
基本的に、子宮頚管無力症と診断された場合の治療は、
です。
前回の妊娠で子宮頚管無力症と診断されていたり、妊娠の早い段階で子宮頚管無力症と診断された場合は、14週~16週ごろまでに頸管を縛る手術を行うことが多いようです。
頸管縫縮術の手術自体は簡単なもので、数日の入院で済みます。
頸管縫合術を受けた後は、自宅に帰ることができ、経過がよければ通常の生活を送ることができます。37週まで妊娠を継続することができれば抜糸して、分娩の時を待つことになります。
シロッカー法
シロッカーテープで子宮頸管峡部粘膜下の結合組織を縛る手術方法です。頸管の上部・内子宮口を縫縮します。
この方法は簡単にテープを除去しにくいですが、内子宮口(より子宮に近い位置)を縛ることで効果が高いと考える説もあります。
マクドナルド法
頸管の内部を外からテープが見えるように縫う手術法がマクドナルド法です。
この方法はシロッカーよりも簡単で、陣痛が来てからでも抜糸して通常分娩に持ち込むこともできます。
現在のところ、子宮頚管縫合術は頸管無力症の明確な根拠のある患者にのみ用いられるべきだと考えられます。
診断が疑わしい場合や、破水・出血・子宮の収縮(お腹の張り)がある場合には手術は行えません。
子宮の収縮(お腹の張り)があるのに無理やり縫合術を行うと、その刺激で破水してしまう危険性もあります。
また、お腹が大きくなって来てからは手術事態が難しくなることや、感染などのリスクが大きくなるため、縫合手術ができる期間を過ぎた場合も縫合術は行われません。